2009年12月16日

METAL MILKについて

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漫画家になるず〜っと前、私はとある同人に参加していて、「描きたい漫画はもう描き尽くしたな〜」という思い上がり状態にありました。
そんな私が別ルートの友人らと始めたのが「れとりか」というミニコミ誌でした。
それを持ってコミケットに参加したり、特撮雑誌「宇宙船」の同人コーナーで紹介されたりして、一定の成果はあげたな〜と慢心している時期でした。
(この「れとりか」がきっかけになって漫画家のかがみ☆あきらさんのアシスタントになったりするのですが、それはまた別の話です)

この「れとりか」、漫画はちょっとでSF小説やSFX映画の評論が主で、まぁ漫画以外のことがやりたくなってた時期なんでしょうね。
実生活でも漫画は読まず、小説や評論しか読まなくなってました。
コミケットは年2回だし、それ以外でも売りたいなと思い、漫画評論雑誌「コミックボックス」の広告で見つけたのが新宿2丁目の怪しい界隈にあった「ふりーすぺーす」という同人誌書店でした。

そこで見つけたのが'くり鋭斗'さん著の「ロッキーモーリーコミックショウ」という小さな同人誌でした。
感激しました。
当時「東京おとなクラブ」という評論誌も出始めで、どちらかに連絡取りたいなと思っていたのですが、けっきょくモーリーの発行元であるスタジオ・ハロウィンのくり鋭斗さんに手紙を出しました。
連絡と言っても売り込みとかたいそうなものではなく、一種のファンレターだったんですけどね。
おとなクラブやめたのは、いわゆる宮崎系美少女のフォーマットのが描いてて楽しいなぁと思っただけなんですが。
多分おとなクラブに連絡しても無しのつぶてだったでしょうが、その「れとりか」が今で言うサブカル系を標榜していたので、そういう色気もあったんでしょうね。

さっそくスタジオ・ハロウィンからお返事をいただき、今度出すB5版の同人誌に一本描かないかと返事がきました。
もちろんすぐ描きました。
それが下の「Live in 3D」という漫画です。


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なんともつたない絵で申し訳ないんですが、この漫画を吾妻ひでお先生が面白いと思ってくれたらしく、白泉社の編集さんに推薦していただいたんですね。
話がゴチャゴチャして分かりにくいですね^^;

話を戻すと、「また漫画描くぞ〜」という気にさせてくれたのが、このMETAL MILKという同人誌だったということです。
あ、こういう漫画も描いていいんだと思ったきっかけだったんだから、スタジオ・ハロウィンは一種の恩人ですね。
というわけでとても思い出深い同人誌なのですが、内容はとても特殊。
当時隆盛だったハリウッド特殊メイクへの思い入れやカルト映画への憧憬で出来上がっていた舶来系ホラー同人誌でした。
当時の商業誌の世界でもこの洋ピン系ホラーブームというのは無視できないもので、漫画に直接的に影響を与えてしまうくらいハリウッドSFX映画にパワーがあったのです。

しかし残念ながら洋ピン系ホラー漫画は日本に馴染まず、その後「ウィングス」などで描いた漫画でも読者投票の結果は和風のホラーの方がずっと上でした。
そこで和魂洋才で作ったのが「妖魔ミカヅキ」なんですが、それもまた別の話です。

けっきょくこのMETAL MILKは精神的支柱であった奥沢聖治さんという批評家さんが急逝することにより立ち消えになってしまいました。
奥沢さんは当時、スティーヴン・キングの評論本を出したばかりで、将来を嘱望されていました。
今から考えても、とても残念なことです。
私にとってもこのMETAL MILKに関わった頃は漫画か文筆かで揺れていた時期だったので、突然漫画家に仕立て上げられてしまったという中途半端な状態でした。

正直言うと私が漫画家に自覚的になったのは'90年代に入ってからです。
漫画家でやっていこうと決心したのがデビューして5年後です。
だから、かがみさんの紹介でゆうきまさみさんのところへヘルプで入った時も「漫画はバイトですんで」なんて言ってたような気がします。
でもかがみさんが突然亡くなった時には「ヤバイ感」、吾妻先生が失踪した時には「ドツボ感」に捕らわれ、辞めるに辞められなくなっていたんですよね・・・。
まぁここら辺のエピソードも腐るほどあるんですが、先様もおられることですしここら辺にしておきます。

だからかもうそれまでの'80年代の自分の漫画を見返すのは赤面以外のなにものでもないんですが、逆に考えれば一番楽しい時期でもありました。
いろんなことがありましたが、多くのボタンのかけ違いも起こりました。
そのひとつがMETAL MILKと疎遠になってしまったことです。
この一回しか描けませんでした。
もっと描きたかったんですけどね。
まぁくりさんに「田中さんのはMETAL MILKと少し違う」と言われたのもあるんですが(苦笑)

なにが違ったのか・・・まぁ、あれです(笑)
でも考えてみればどこへ行っても「ちょっと違う」だったような気がするなぁ。
「ちょっと違う」はデフォルトのようです。

今回こんな話になったのは、そのMETAL MILKに関わった方がメールをくれたおかげです。
手元になくなった掲載誌をデジカメで撮ってもらって、10数年ぶりに自作と再会ができました。
ありがとうございます。

画像はちょっと歪んでいますが、この漫画もそのうちHPの方で公開しますのでその時は見てやってください^^

(2009年12月17日改稿)
posted by まーちゃん at 06:37| 東京 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | 昔のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月14日

フルデジタル作成

先日上げた携帯漫画の原稿をフルデジタルで描きました。
初めて下描きから完成まで紙をぜんぜん使わなかったので、けっこう時間がかかってしまった感じです。

2009y12m14d_000833448.jpg

まずコミックスタジオです。
下描きですがコマ割りを直線ツールで引くのが変な感じでした。
ネームもフォントで入れるので違和感。
というかコミスタ自体が違和感(苦笑)

2009y12m14d_001015385.jpg

ペン入れをしてみます。
ベクター線で入れてみましたが、コミスタのアンチエイリアス無しの線(グレーの部分が無い)に違和感。
でも仕方ないですね。
それともアンチエイリアスでも描けるのかな。

これはカラー原稿なのですが、とりあえず600dpiで描きました。

2009y12m14d_001239713.jpg

全ページにペン入れ出来たら、フォトショップ書類に書き出し、350dpiに変換。
描線がきれいにアンチエイリアスになりました。
やっとフォトショで色塗り開始。
sai買ってないし、ペインターはいつまでたっても重くて慣れないので、フォトショで塗ることに。
しかし全22ページ、コマ数にして120くらい、えらい時間かかります。
最初に肌全部、次に髪全部というふうに作業しました。
一番気を遣う部分なのか、いつまでたっても終わらず・・・。

2009y12m14d_001330057.jpg

服にも色入れたら、やっと背景です。
なぜか背景はサクサク進みました。
フォトショ向け?

出来合いの背景画像拾ったり自分で描いたり。
350dpiだと背景線は直線ツール使うとぜんぶ1pixel。

2009y12m14d_001417479.jpg

最後に背景効果やって擬音入れて完成。
とはいえフルカラーというのは選択肢がそれこそ無限なので、色調補正などでいじりまくってると、いつまでたっても終わりません。
でも締め切りもあるので、そこはサクっと終わらせてROMに焼いて宅急便で送って終わり。

今回はフォトショで塗りましたが、次回からはイラストスタジオで塗ります。
色調補正などが少し弱いのと入稿の関係でフォトショも使いますけどね。

あと特筆すべきは携帯漫画だということ。
携帯漫画の恐ろしいところはページ数よりもコマ数で計算されること。
同じ22ページでもコマ数が届かないと駄目なんです。
あとフキダシは別レイヤーで動かせるように入れるので、ぜんぶはみだしています。
コマの枠線も紙媒体とは意味合いが違うので、揃っている必要がありません。
いちばん違うのが新作は「フルカラー前提」だということです。
120コマ色を入れるということです。
色乗せは外注もありだそうですが、真っ白な線画だけ渡すのって、どうなんでしょう。
勇気が要りますね。

色々聞いていると紙媒体の読者と携帯読者はぜんぜん被らないんだそうです。
しかも70%は女性だとか。
当然その媒体の縛りは作品内容の縛りに直結します。
今後どう伸びていくか分からない媒体なので、毎回変化に対処しながら続けることになりそうです。

しかし、フルデジタル、ネームと下描きのあたりくらいまでは紙でやった方が早いのかも知れないです。
そこらへんの見極めは今後の課題ですね。






posted by まーちゃん at 01:01| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

「仮面の部屋」

漫画家の業といいましょうか、日常生活を送りつつも期せずしてネタを思いついてしまい、その処置に困ることが多々あり、こんなエントリです。
つまり作品にする可能性の無い、まぁボツネタのコーナーです。

まずは先ごろ目に付いたこんなニュース。

「23%の自治体が、男子トイレの“完全個室化”必要」
>。「大便をするとからかわれる男子生徒のために、小便器をなくしてすべて大便器にすることを検討している自治体もある」(学校のトイレ研究会)としている。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/24/news044.html

まぁ小学生とかだと学校のトイレで大に入るのは恥ずかしいわけです。
ましてやそれをクラスメイトに見られようものなら、片思いのなんとか子ちゃんにも言いふらされること必至です。
朝、自宅トイレでがんばって出してくるなど、小学生の悩みは深いです。
そんな時、クラスのおどけ者Cが「じゃあトイレに仮面を置いて、ンコするやつはそれ被ってすればいいんじゃね?」と発言するわけです。
すると現実主義のメガネ(髪は横分け)が「馬鹿だな、トイレまで行ってから仮面つけたんじゃ、そこで小してるヤツに見られてバレるじゃないか」とあざ笑います。
「なんだとメガネてめぇいつも批判するばかりでアイディアも出さねぇで偉そうにばっかりしやがってよ」と言ってつかみ合いになります。
ここらへん与党と野党の関係に似ています。
もちろんここでよし子ちゃんが「やめて!」と言います。
「まぁまぁやめたまえ諸君」と言って仲裁に入るのは級長のHで、スポーツマンで万能の彼は生徒会長もやっています。
(横分けとキャラが被るのはネタの推敲が足りないせいです)
「仮面をトイレに設置するとバレるんなら、他のところに仮面を置いておけばいいだろう」と提言します。
これこそ現実的な対案というものです。
しかし廊下に下げておいたのでは、そこで被ったのを見られたとたん「大決定」です。
「そうか困ったな、よ〜し」級長がそう言って逆立ちすると・・・これではあばれはっちゃくのパクリなのでやめておいて、普通に「じゃあ仮面を置いておく部屋を作ったらいいんじゃないか?」と素晴らしい提案をします。
クラスは拍手喝采です。
級長は生徒会長だという利点も生かし署名も集めて教職員を説得し、見事仮面を置く部屋を作ることができました。
その部屋は一階の階段の死角にあり、部屋に入るのも気づかれにくく出来ていて重宝され、面白がった生徒たちが持ち寄った仮面でいっぱいになり、いつしか「仮面の部屋」と呼ばれるようになります。

しかしある日、そんな仮面大好き小学生に対して厳しい現実が社会から突きつけられます。
それは考えなしの文科省官僚が素案を立て政府が閣議でながら決定した「小学校の小便器の廃止」です。
まったく無責任な法律です。
しかもお小水が飛び散らないように「強制座り小」まで校則で決まってしまいます。
「女みて〜じゃんよう」「座り小便なんか馬鹿馬鹿しくてやってられっか」
そんな小学生の切実な声が政府に通じるわけもありません。
誰も訪れることのなくなった「仮面の部屋」は板を打ち付けられて封印され、時は流れ在校生も一回り入れ替わったある日・・・・。

学校のトイレ.jpg


放課後のトイレに仮面を被ったお化けが出るという噂が立ちます。
個室で小をしているとドアを開け放たれ「男ならオレの見てる前でしてみろ!」と仮面お化けに強制されるらしく、校内の男子生徒は恐怖におののきます。
あげく小をするときはドアを開けてするという「慣習」までできる始末。
しかしそうなるとドアを閉めると大をしてるのがバレることになり、また男子小学生たちは登校前大が当たり前、つまり昔に逆戻りです。

ある日、目立たない少年Aはトイレに隠れていてそのお化けの仮面を剥ぎ取ってその正体を暴いてやろうと思い立ち、掃除用具入れに隠れます。
Aは仮面お化けのせいで便秘気味になってしまって怒っていたんです。
日も暮れかかり薄暗くなったトイレに暗い人影が現れます。
「なんだお化けじゃない、あれは人間だぞ」
そう直感したAは勇気を振り絞り物入れから躍り出てお化けの仮面を剥ぎ取ります。

そこで彼の見たものは・・・・。

(終わり)


posted by まーちゃん at 02:56| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月22日

一言メッセージへの返答2

「ZONE」のweb拍手の一言メッセージへの返答です。

淫魔01.jpg

































>私がまだ中学の頃にコミックス買ってました(ウィングスの頃)実家の引越で掃除の最中、コミックス三冊を発見・再読して懐かしくなってネットで検索してたどり着きました。ZONEとてもおもしろかったです!続きがとても気になります。頑張って下さい!!

コメントどうもありがとうございます。
当時ウィングスではあまり受けを気にせず自由に描いていた記憶があります(あれコミコミでもそうだったかな)
そのせいか作品内容にバラツキがあり後悔も多いのですが、自分でも好きな作品が多いです。
この頃は業界の慣例も知らず周囲に迷惑かけてばっかりだった苦い思い出もありますが(当時の関係者の方々、申し訳ありません)その分伸び伸び描いていました。
'90年代後半からは作品傾向がHに振ってちょっと変わってしまいましたが(そうじゃないと掲載されなくなって生活を維持できなくなった感じ)その揺り返しが今回のZONEです。
Hに振った分、失望された読者様が多かったのを自分でも罪悪感を感じていました。
そのお詫びとお返しのつもりもあります。
当時の漫画とその後の蓄積の集大成のつもりで描いていますので、妥協はしない、その分発表が遅れますが、どうか気長に見守っていただけると幸いです。


posted by まーちゃん at 08:12| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月18日

忌中となりました

長らく闘病生活を送っていた母が先日病院で亡くなり、お葬式から初七日を終えました。
実家のある茨城県との往復もひと段落し、ぼーっとしていた頭もだんだんはっきりしてきた気がします。
現在は仕事に復帰し粛々と進めています。
前後してこのブログには冬コミのエントリを上げてしまいましたが、お年賀のご挨拶はしないということになってしまいました。
申し訳ありません。

すい臓がんは難しいがんだそうですが、大手術から2年も生きてこられて幸せであったと思います。
いろいろ書き始めると終わらなくなるので、これにてご報告に代えさせていただきます。

田中雅人拝





posted by まーちゃん at 23:28| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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